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人妻教師「苺原 樹」が教え子の女子高生「戸川 凛」に惹かれていく過程を描く百合小説。教師と生徒という立場の違いはありながら、学校ではどちらも教師として(あるいはクラスメイトとして)人気のある二人。家庭環境に問題のある凛を気にかけているうちに、気が付くと教え子のベッドの上で唇を重ねてしまう。夫や教師という体裁がありながら不貞を犯す罪悪感と、反対に温かさのある親愛や恋情に満ちた純粋さを同時に描く恋愛小説。
20代後半、既婚の美人高校教師。 クールな雰囲気であるが、生徒から人気があり、まじめで周りの先生からも信頼されている。家庭では夫婦仲は良好なもののレス気味で、夫は作中ではほとんど登場しない。子供はいない。
学校ではいつも笑顔な高校2年生の美少女。誰にでも人懐っこく温厚であるが、樹に対してはすこし違う一面も見せる。樹より少し背が高い。
軽薄そうな第一印象の謎のお姉さん。凛の姉として紹介されるが、明らかに似ていない。凛とは何やら特別に親しそうであるが...
人妻となっているが、夫は軽く触れられるだけで登場しないので、百合作品での男性登場が苦手でも読める。結論から言いますと、年の差百合が好きな人はとりあえず読んでみるといいと思います。
主人公の教師・樹が主体の落ち着いた文章。樹は教師でありながら(また夫がいながら)ひとりの教え子を想ってしまったことを常に気に病んでいます。
教師としては自分の生徒を気に掛けるのは、自然なことであると思います。ましてその生徒が自分の担任するクラスの生徒であり、何やら家庭環境に問題のある雰囲気があるならなおさら。それでも、クラスメイト全員を均一に、気にかけるべき先生が気が付くと凛ひとりのことばかりを考えてしまう。
樹が家庭環境に問題のある凛を心配し親身に世話をするようすは、やはり母性に似た何かを感じます。彼女は既婚ながら子供はおらず、無意識にそれに近い感情を持っていることは想像に難くないでしょう。しかし彼女の感情は母性だけのそれではとても説明がつかない性質のものであることは物語が進むうちに明らかになっていきます。
本作は道を踏み外す背徳の甘さ、罪悪を感じつつもどうしようもなく凛を求めてしまう切なさがよく表現されていてすばらしい。また字の文の文体が、平均的な百合小説に比べて達者である(そういう分野を否定するわけではない.むしろ好きなほうであるが、一般小説を読んだ後ライトノベルを読むと読みづらさを感じることがあるのは事実)ので、その点も読みやすくありがたい。
巻を通して基本的に学校周りの日常を描いているので、進行は落ち着いている印象です。冒険や裏切りの連続など刺激の強いライトノベルが好きな読者には向いていないと思われますが、現実的な展開で多くの小さなきっかけから進展があるさまはむしろリアリティがあり好ましいといえます。この現実性があるからこそ、現実世界のリアルなとまどい、葛藤、そして背徳が現実を生きる読者に伝わるのだろうと思います。後半に進むにつれて、クールでまじめな性格の樹が凛に対して余裕がなくなっていきます。すべてを吹っ切って凛と唇を重ねてしまった後もその感情は落ち着くことなく、むしろ膨張していくようで、その破裂寸前の余裕のなさを見守る傍観者であるはずの自分も思わず、感情が昂ってしまう感覚がありました。
舞台構成としては、教師・生徒の恋愛ものというありふれた題材でありながら、文章表現・感情描写において入間さんはやはり優れていると感じさせられました。王道というのはやはり誉め言葉なのでしょうね。
綺麗な淡いパステルカラーの表紙イラスト、背徳感を感じるタイトル、読みやすく表現力のある文章とどれをとっても最高でした。冒頭で書きましたが、年の差百合が好きな人は買いです。
特に後半の展開はすさまじく、読後の余韻もそこそこに次巻をポチってしまうほどの破壊力がありました。母性の絡む百合、いいですよね。