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50を超える短篇が並ぶこの一冊は、「百合」の多彩な表情をそっと拾い上げる短編集。幼馴染や年の差、学生と大人など設定も豊かで、読み手はまるで秘密の場所に誘われるような感覚を味わえる。幅広いテーマの中で、安心感と少しの期待が同居する入口が用意されている。
一篇ごとに異なる空気感や語り口があり、短篇だからこそ余韻が際立つ。それぞれの関係には、やわらかい距離感とほんのりした胸の震えがある。百合としての瑞々しさをまとめて感じられる幸福が、静かに広がる。
構成は、一話完結型という形式が良い意味で余白を生み出している。短くも、それゆえに一瞬の感情が濃縮され、記憶の隙間にすっと染み入るように。読み終えたあとも余韻があり、「この先にこういう展開もあるかもしれない」とそっと思わせる一冊。