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カテゴリ 書籍
百合とSFの交点を正面から扱う短編集。SFマガジンの百合特集掲載作に書き下ろしを加えた構成で、作家ごとの個性がはっきり伝わる。言語や宇宙、日常のきしみまで題材は幅広い。ほとんどが100p以内の短編。9作で409ページなので、平均的な文庫サイズといえる。
「色のない緑」(陸秋槎)では、スマートグラスや無人タクシーなどが汎用化された世界で、言語学をあつかう。言語生成モデルを使って複数言語を生成し、それぞれに仮想の「場所」(国と言い換えてもいい)を与え、政治や貿易での往来による言語進化を観測するというような発想は通常(筆者も含め)言語学に明るくない人間からすれば、考えないだろう。この本は2019年発行だから、OPEN-AIのGPT3が公開(文章生成AIが実用レベルになったとされる)された2020年よりも前に書いたことになる。言語学に興味があるかは置いておいて、たまにこういう本を読むと未来を想像する機会を持てて、SFのよさを教えてもらえる気持ちがする。
作家にもよるが特にSF色が強い作品は設定がやや複雑で読みづらさがあるため、Amazonなどで試し読みを奨める。読後には、好みの作家の関連作を探してみるのもいいだろう。本書に収録されている「月と怪物」(南木義隆)が気にいったら、同著 「蝶と帝国」を読んでみてもいいだろう。